開発者インタビュー

機能性とデザイン性、どちらも妥協しないモノをお客様に届けたい。

発売からわずか1年という短期間ながら、すでに文具店では欠かせないアイテムとなったペンスタンドに変形する「DELDE」のスライドペンポーチのこれまでと現在、そしてこれからをサンスター文具株式会社のイノベーショングループのお2人に伺ってきました。

A.T.さん

サンスター文具株式会社クリエイティブ本部イノベーショングループ課長。
「DELDE」を生み出したチームをリードし、現在は「DELDE」のブランドマネージャーを務める。

A.H.さん

サンスター文具株式会社クリエイティブ本部イノベーショングループ。
入社1年目で「DELDE」のアイデアを立案し、開発から発売までこぎつけた立役者。

「DELDE」アイデア誕生秘話

朝日奈:さっそくですが「DELDE」という画期的な商品が生まれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

A.H.:昨年になりますが、イノベーショングループの新人の年間目標として、毎日1つずつ文具のアイデアを企画にまとめて毎週企画会議をするという活動に取り組みました。

夕永:毎日1つ、毎週会議というのは大変そうですね。企画の条件としては文具であれば何でも、という広いお題だったのでしょうか?

A.H.:はい。その中で、自分なりにペンケースの企画を出そうと決めた週があったんです。当時はまだあまり世に出ていた商品の種類は少なかったのですが「ペンスタンドに変形するペンケース」というのはとても便利ですし、これからも人気が出続けると考えてアイデアだしに取り組みました。
その頃あったペンスタンド式ペンケースは変形のギミックを仕込むためにどうしても容量が少なくなってしまっていましたし、ギミックも含めて男性っぽいデザインや色合いのものが主流で、女性に向けたオシャレで大容量なものというのがまだなかったので、それを実現しようと思ったんです。
そのためにいろいろと構造を考えているなかで、こんなものを作ってみました。

A.H.さんお手製の貴重な「DELDE」試作品

A.H.さんお手製の貴重な「DELDE」試作品。

朝日奈:こ、これは、もしかして「DELDE」の最初の試作品ですか!?

A.T.:実際に飲料の紙パックを自宅で切って工作して作ってきてくれたんです。

A.H.:家族にも協力してもらって頑張って飲みました。それで、ペンスタンドに変形させるためにはペン先がケースより上に出ていなければなりません。最初は下の部分が上に上がる構造を考えたのですが、そのためにはバネなどのギミックを仕込む必要があったので、もっと簡単な方法として「伸縮する」という構造を文具に限らず広く調べてみました。その結果、学校の先生が使う指示棒の伸縮する仕組みを参考に、上の部分を下に下げる構造がいいのではと思い、実際に紙パックで作ってみたんです。

朝日奈:ちょっと触らせていただいてもいいですか? なるほど、上部と下部をつないでいるバンドがあるので、上部を上げ下げして伸縮できるんですね。これ構造もすごいんですが、ちゃんと内側にポケットがついていて、ペンケースとしての使い勝手を細やかに意識されていますね。

夕永:このアイデアが出された時、イノベーショングループの皆さんはどう受け取られたんでしょうか?

A.T.:評判はとても良かったです。「すぐにやろう!」となりました。毎週ネタだしを繰り返していますので、もちろん出てくるアイデアにはピンキリがありますけど、全員がピンとくる瞬間というのがあるんです。これが正にそれでした。

朝日奈:全員一致で可能性を確信したんですね。それにしても、入社1年目でこんなアイデアを企画として実現できたというのは本当にすごいことだと思うのですが、A.H.さんは入社前から商品企画を志していたんですか?

A.H.:私は理系の大学院出身で、モノづくりや建築系のデザイン、グラフィックのプログラミングまでいろいろ勉強してきました。子どもの頃から文具や女性向けのキャラクターが好きで、自分も何かしら世に出るモノをデザインしてみたいという思いがあって、この会社に就職したんです。実は絵自体はあまり上手くないんですが、構造を考えるのが好きです。だから毎日企画を考えるのも最初はとても楽しかったですね。ネタが尽きてくると苦しい時もありましたけど。

A.T.:みんなでバスケをする機会があって、その時たまたまボールが彼女の頭に当たってしまったんです。そうしたら彼女「頭の中がすっからかんの様な、いい音がした」って言ってましたからね。

夕永:頭が空っぽになるまでアイデアを絞り尽くしてきたんですね。

「DELDE」こだわりの商品開発過程

夕永:そこまでやるからこそ生まれた「DELDE」という企画ですが、発売に漕ぎつけるまでにはどんな苦労やこだわりがあったのでしょうか?

A.H.:紙パックの工作で構造は説明できたのですが、ペンケースとして実際に布で作る時にどんな縫製を行えばよいかが難しかったです。とくに帆布生地の柔らかい良さを活かしながらも自立しなければならない下部の強度、かたさのバランスには気を遣いました。かたすぎるとかわいくないので、中に入れる素材や硬さはこだわって選びました。

A.T.:上部を下げた時と上げた時にちゃんと望んだ位置で止まることも重要です。試作品のバンドの役割にあたる部分ですね。縫製にあたっては上部を下げた時に内側の生地が余らないように細かいところまで何回も試作を繰り返しました。

A.H.:工場様が作ってくださったものを自分で縫って微調整を続けました。

A.T.:実は途中で工場様に「もう無理です」と言われてしまったこともあって。でも「大丈夫です、こうやればできます!」と諦めずにこだわってやり遂げました。

朝日奈:どれくらい試行錯誤されたんですか?

A.T.:2月に発売した商品なのですが、12月にはまだ試作に取り組んでいました。企画の提出から約5か月、本当にギリギリまで縫製の調整を粘りました。

A.H.:サイズ感にもこだわりがあります。大きすぎると、ごつい印象になってしまって女性的でなくなりますが、女性が持ち歩きたいもの、例えばたくさんのカラーペンを収納できる大容量も譲れない。実はこの幅を58mmにしているんですが、これは女性が片手で持った時にしっくりくるサイズ感をペットボトルの大きさを調べて参考にしながら決めていきました。ペットボトルは身近にありますし、人間工学的にもよく考えられたデザインなので。

片手で持つとしっくりとおさまる感じが心地いい。

片手で持つとしっくりとおさまる感じが心地いい。

夕永:たしかに、カバンに入れる時もすっと入りますし、女性でも持ちやすい絶妙なサイズ感です。デザインにこだわりつつも、使い勝手を理論的に考えられているんですね。

A.T.:細かい所までこだわりました。とにかく今までにないものでしたので、既存の知識や経験では判断できないんです。それでも売れるという確信があったので、売り込みも自分たちで積極的にかけました。

A.H.:展示会に出展したところ、流通や小売店さんの評判がすごく良かったんです。新規商品なので最小ロットで生産予定だったんですが、あまりの引き合いに足りなくなってしまって慌てました。

A.T.:お店は売り場を活性化してくれる新しいものを欲しがってくれていますから。私たちもこれは絶対に売れると思っていましたので、いかに商品として実現するかの部分に全力を注ぎました。

朝日奈:12色という豊富なカラーバリエーションも「DELDE」の特徴と思いますが、これだけ豊富なラインナップはどのように実現を決めたのでしょうか?

A.T.:女性向けの商品ですので、売り場で選ぶ楽しみを実現したかったんです。その選び方として、自分のファッションに合わせて選べると楽しいのではないかと考え、ナチュラル、クール、ガーリー、ポップの4シリーズを用意しました。

A.H.:女子高校生に対するグループインタビューで「友達とお揃いがいいけど、まったく同じは嫌」という難しいけれど女性としては思わず納得してしまう意見があったんです。イロチ(色違い)で持ちたい、とか、ちょっとしたカスタマイズをしたいとか。それで、バリエーションをだしつつも、上部のデザインはシンプルにしてワッペンや缶バッジで自分らしさをだせるようにデザインしました。

A.T.:実は、発売から12色展開というのは営業的にもチャレンジだったんです。売り場の棚も広く取ってしまいますので、今までこれだけのバリエーションを揃えて発売したケースはうちではありませんでした。それでもあえてチャレンジして、幅広い女性に受け入れられるデザインを目指しました。

「DELDE」活用アイデア

夕永:女子高校生、という言葉もありましたが「DELDE」は今どんなお客様にどのように使われているのでしょうか?

A.H.:SNSでの書き込みやお店の方に伺うと、やはり女子高校生にたくさん使ってもらっているのですが、思った以上に化粧ポーチとしての需要がもう少し大人の女性からありました。

A.T.:小さくしたままでも使えるので、普段使いにリップなどちょっとした小物を入れつつ、旅行の時には大きくしていろいろ持ち歩いたりもできるのが好評です。

A.H.:ペン用、化粧品用など複数購入してくれるお客様もいます。

A.T.:そもそも大容量をウリにしているので、それを複数購入してくださるというのは驚きました。ペンケースってこれまでは1人1つあれば十分というものでしたから。

夕永:ペンケースの複数購入という新たな需要を生み出したんですね。様々な可能性を秘めた商品ならではの現象と思いますが、筆記用具や化粧品以外にこんなものを入れてほしいというアイデアはありますか?

A.T.:社内のママさんたちはキッチンまわりの小物の収納に使ってくれているそうです。粉末やソースのアルミパウチ、クリップなどこまごましたものってキッチンには意外と多いので、今までは缶に入れていたそうなんです。でも缶だと子どもがうっかり落としてしまった時にぶつかったりして危ないと気にしていたところ「DELDE」なら布製なので安心だし、置いておいてもオシャレだと。

A.H.:編み棒や毛糸といった手芸用品を収納するのもオススメです。カフェなど外出先で編み物する時に持っていきやすいですし、作りかけの作品を壊すことなく持ち運べます。

「DELDE」が目指すもの

朝日奈:まだ発売から1年という「DELDE」ですが、今後の展開についてお話いただけますか?

A.H.:「DELDE」は「Design Life Debut」という意味のブランドです。名前のとおり、機能性とデザインを兼ね備えたものをいろいろ開発していきたいと思っています。まずはスライドペンポーチの素材やサイズのバリエーションを増やして、ペンケースに限らずラインナップを増やしていきたいです。

A.T.:今は「DELDE」といえばスライドペンポーチというイメージがあると思いますが、今後はこのペンポーチのようにオシャレで使いやすい、お客様の生活に受け入れられるようなアイテムを1つずつ増やしていきたいと考えています。これからのお客様はかわいいだけでも便利なだけでもない、機能性とデザイン性のどちらも妥協しない商品を求めると思っています。サンスター文具には「企画とアイデアで挑戦し続けます」という企業理念がありますので、とにかくアイデアを大事にしたいんです。また、女性に愛される様々なキャラクター商品も取り扱ってきましたので「DELDE」を通して機能性のアイデアと女性に響くオシャレさを両立したラインナップを提供できると考えています。実は具体的な企画アイデアも今また企画会議で集めていて、これは、というアイデアも出てきたので、試作を進めているところなんですよ。

朝日奈:生活のあらゆる場面に「DELDE」ブランドの商品がある未来、個人的にも楽しみになってきました!

夕永:それでは、最後にお客様へのメッセージをお願いいたします。

A.H.:「DELDE」を愛用してくださっていること、本当にありがとうございます。どんな風に使ってくださっているのか、愛してくださっているのか、そこからまた私も新しいアイデアをいただいています。「DELDE」を持っていくことで学校で自慢できたり、会社で注目されたり、持つことでその人と周囲のコミュニケーションが豊かになっていくようなモノをこれからも作っていきます。

A.T.:私たちが思っている以上に愛着を持って使ってくださっていて、感謝しています。商品タグを手帳に貼って大切にしてくださっている方や「DELDE」のイラストを描いてくださる方、大切にデコレーションしてくれる方、お客様のそうしたお気持ちや行動に私たちは喜びをもらっているので、これからもお客様とつながりながら新しい商品や新しい仕掛けで発見と喜びをお届けしていきたいと思います。

タグも保存したくなる「DELDE」ファンに感謝!

タグも保存したくなる「DELDE」ファンに感謝!

「DELDE」アイデアの生みの親であるA.H.さんと、発売に向けてチームを推進してきたA.T.さんのお話から、たゆまぬ努力と妥協を許さない姿勢を垣間見ました。これだけの想いが込められた「DELDE」の魅力について、これから我々も更なる追究をお約束しますので、次週以降のコンテンツもご期待ください。

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